かみさまのほろ酔いブログ

1日の終わりに今日という日をほろ酔いながら振り返る、そんなありふれた日常を大事にしたいと思う今日この頃。

知っていると人生が変わる経済の仕組み③(バブル崩壊と経済の修復)

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みなさんこんにちは!

経済についてみなさんはどれぐらい理解されているでしょうか?

一見むずかしそうに思いがちな経済の仕組み。

しかし、そのカラクリは簡単で知っているのと知らないのとでは経済力にも差が出てきてしまいます。

知っていれば投資などにも役に立ち、逆に知らずに経済的苦難に陥る人もいます。

投資に興味がある人なんかは自身の投資にも役にたつ知識になると思いますのでぜひ読んでいただければと思います。

今回は第3回目となりますので第1回目から見ていただくと理解しやすくなっています。

今回はバブルの崩壊についてから説明していきます。

 

第1回目 の記事はこちら

lg-f1111pp.hatenablog.com

第2回目の記事はこちら

lg-f1111pp.hatenablog.com

 

今回の目次は以下の通り

■人はすべてが順調だと思いがち

短期の債務周期で支出に影響するものは、貸し手と借り手がクレジットを容認する度合いです。

クレジットが簡単に得られると経済は拡大し、クレジットの獲得が難しいと不景気となります。この周期をコントロールするのは主に中央銀行です。

短期債務の周期は大体5年から8年です。そしてこれが何十年にもわたって繰り返されるのです。

ここで注目してほしいことは周期の底と頂点は、先の周期と比べて高くなり債務も増えています。

なぜなら人は債務を返済するよりは借用額と支出をふやす傾向があるからです。

このため長期の波を見ると債務は所得より速いスピードで増大し、これが長期の債務変動となります。

人の債務が増大していても貸し手はクレジットをさらに提供しようとするのです。

それは、人はすべてが順調だと思いがちだからで、人は遠い未来ではなく、最近の動向にのみ注意を払います。

所得がふえ、資産の価値もふえている、株価も高騰している、つまり好景気の到来です。

このようなときにはお金を借りても物品、サービス、資産を買うのが良策なのです。

この傾向が社会に充満するとバブルとなります。債務がふえていても所得がそれと同じくらいふえていれば返済の問題はありません。

所得が増加している限り債務負担率(債務と所得の比率)に問題はありません。

資産の価値も高騰します。人々は多額の借金をつくって資産に投資します。

これが価格をさらに押し上げます。

人は裕福だと感じます。債務が膨れ上がっていても所得と資産価値がふえていますからクレジットを得ることに危険はないのです。


■バブルの終わり

しかし、バブルは長続きしません。何十年もたつと債務額がだんだん大きくなり返済額が増えてきます。

そして返済額が所得よりも速いスピードで増えるときが来ます。

すると人々は支出を抑えることになります。

1人の支出はほかの人の所得ですから所得水準が下がりだします。

すると借りることも難しくなり縮小傾向となりますが、債務の返済は依然として続きますから支出はさらに減少します。

経済変動の波のぶり返しが起こるのです。これが長期債務周期の頂点となります。

債務負担が支えきれなくなってしまうのです。

アメリカ、ヨーロッパ、その他の地域では、これが2008年に起こりました。同じ理由で日本では1989年に起こり、アメリカでは1929年にも起こりました。

こうなるとレバレッジが勢いをなくします。そうなると支出が減りだします。

所得が縮小し、クレジットが消滅し、資産価格が急落し、銀行は苦しくなります。

株式市場は破綻し、社会的緊張感が強くなり、人々はお金を使わなくなります。

この悪循環が繰り返されることになるのです。

所得が減り、債務返済がふえると借り手は締め出されてしまい、クレジットは底をついてしまい、借り手は返済に充てるお金を借りることもできなくなってしまいます。

そのため資産を売り払うことになりますから市場は売りに出される資産であふれます。

すると株式が暴落し、不動産市場も崩壊し、銀行が苦しくなります。

資産価値が減ると担保の価値も縮小することになるため、借りることがさらに難しくなります。

人は貧しいと感じ、クレジットは蒸発してしまい、支出は減り、所得が減り、資産価値が減り、クレジットが減り、借りることがさらに難しくなる悪循環となるのです。

 

■経済の価値の消滅

これは不景気と似ているようですが違います。

利子を下げても景気回復に結びつかないのです。

不景気なら利子を下げれば借りる金額がふえます。でもレバレッジが消滅していますから利子を下げようとしても既に利子は低くなっており、ときには0%になってしまいます。

するとこれ以上利子を下げることができなくなり景気回復は不可能です。

アメリカの利子はレバレッジが消滅した1930年代に0%となり、2008年になりました。

不景気とレバレッジ消滅時の違いは、後者では借り手の負担があまりに大きくなっていることです。これは利子を引き下げても回復が不可能なのです。

借り手は全額を返済することができなくなってしまいます。

借り手は返済能力を失い担保の価値はなくなります。負債の重さに耐えきれず借りる気力もありません。貸し手は貸すことをやめ、借り手は借りることをあきらめます。

経済の価値が消滅した状態となっているのです。

これは個人も同様です。ではレバレッジが消滅したときどうすればよいのか。

耐えきれないほど大きい債務負担を縮小しなければなりません。

これには以下の4つの方法があります。

①人、ビジネス、政府が支出を縮小する。

②債務は不履行となりまた再編される。

③資産は富裕層からそれ以外に再分配される。

中央銀行が新しい紙幣を印刷する。

この4つはレバレッジが消滅した際に実際に起こっています。

 

■資産と考えていたものが消滅したとき、人々は恐慌に気づく

普通、支出がまず縮小されます。人、ビジネス、政府が財布のひもを締め、支出を縮小し債務を返済しようとします。これは緊縮策と呼ばれます。

借り手が借りることをやめ、古い債務の返済を始めると債務負担率が減ると考えがちですが、その逆が起こります。

なぜなら支出が減り、支出はほかの人には収入源ですから所得が縮小します。所得は債務返済より速いスピードで縮小します。すると債務負担率が悪化するのです。

支出が減るとデフレを起こします。ビジネスはコストを減らそうとしますから雇用が減り、失業がふえます。そうするとさらに債務を減らす必要が出てきます。

借り手の多くは借金を返済できません。

借り手の債務は貸し手の資産であるため、借り手が銀行に返済できないと人々は銀行に預けたお金が心配になり、銀行に殺到して引き出そうとし、銀行の経営は難しくなりまる。

人々やビジネスは債務の返済が不可能となり、このため経済恐慌となります。恐慌は人々が資産と考えていたものが消滅したと気づいたときに起こります。

身近な例で飲み屋で考えましょう。ビールを飲んでツケにしました。飲み屋に後で返済すると約束したのです。これは飲み屋にとっての資産です。でも約束が破棄され返済ができなくなるとツケが不履行となります。

すると飲み屋の資産の価値がなくなってしまうのです。貸し手は資産の消滅を避けるため債務の再編に同意します。でもそうすると返済額を縮小したり、返済期間を延長したり、最初に決めた利子を引き下げたりします。

債務を縮小するために契約が破棄されますが、貸し手は全く返済されないよりは幾らかでも回収したいのです。

すると債務が消滅しても債務が再編されると所得と資産価値は急速に減り、債務負担率がさらに悪化します。支出を減らすのも苦しいですが債務を減らすのも大変なのです。

 

■恐慌がまねく社会不安

こうなると中央政府も影響を受けます。所得が減り雇用も減るのですから政府に払われる税金も減ることになります。さらには失業がふえたため政府は支出を増加する必要があります。失業者の多くは預金もなく政府からの援助が必要です。

また政府は経済活性化のため支出をふやし、経済の体力を回復させようとします。

レバレッジが消滅しているときには税収入が減っただけ、政府の予算負担は急激に増加します。

これが政府の債務負担増加の理由です。この債務を返済するためには税収をふやすか借金をふやすことになりますが、所得が減り失業者がふえているこの状況でどこからお金を集めたらよいのでしょうか。そう、それは富裕層です。

政府は富裕層からお金を集めようとします。資産は限られた少数の人たちが持っています。政府はこの富裕層からの税収入を増やすのです。すると富の再分配が起こります。

持っている人々から持っていない人々に、貧しい人たちは富裕層を毛嫌いするようになります。

また富裕層は経済の弱体化、資産価値の暴落、税金の増大などから貧困層を嫌うようになります。恐慌が続くと社会不安が生まれます。国内の葛藤がふえるだけでなく国と国の間にも、特に債権国と債務国の間にもいら立ちが見られることになります。この状態が続くと政変が起こり大変な事態となりかねません。

1930年代にはこのためヒトラーが力を増し、ヨーロッパでは戦争が起こり、アメリカでは恐慌が起こりました。そのため強い対策が必要となりました。普通の人がお金だと思っていたのは実際にはクレジットだったのです。そしてクレジットが消滅するとお金が不足することになったのです。人々はお金が必要になりました。

 

■リスクを伴う債務減額への道のり

お金を印刷できるのは誰なのか。それは中央銀行です。

利子がゼロまで下落していましたからお金を印刷するより方法がないのです。

支出の縮小、富の再分配に比べるとお金を印刷することはインフレを招き経済を刺激します。中央銀行は何もないところから新しい紙幣を印刷し、資産を買い、政府債権を買うのです。

これがアメリカの大恐慌で起こり、2008年にも起こりました。アメリカの中央銀行連邦準備銀行が2兆ドルを超える新しいお金を印刷したのです。世界のほかの中央銀行もできる限りお金を大量に印刷しました。これで金融資産を買えば資産の価格を引き上げ、借り入れが楽になります。

でもこれは金融資産を所有している人だけを助けることになります。中央銀行はお金を印刷できますが金融資産だけを購入できるのです。

この一方中央政府は物品やサービスを買い、そのお金を人々の懐に入れることができます。でもお金を印刷することはできません。したがって経済の活性化のためには両者の協力が必要となります。

中央銀行が政府の債券を購入することは実際政府にお金を貸すことになり、赤字予算で物品やサービスへの支出をふやし、経済の活性化を図り、失業保険を支払うのです。

すると国民の所得がふえ、国の赤字もふえます。でもこれが経済の債務負担総額を減らします。これはリスクを伴います。

政府は4つの方法のバランスを保ち債務を減少させることが大切です。デフレ要素とインフレ要素のバランスを保つことが経済の安定につながります。このバランスが達成できればレバレッジの減少はよい結果をもたらします。レバレッジの減少は悪い結果、またはよい結果をもたらすことができます。


レバレッジの減少への対応が経済活動のカギ

レバレッジの減少がよい場合とはどんな時でしょう。

これは難しい事態ですが、それに上手に対応できるならよい結果が可能なのです。

これは債務が引き起こすアンバランスで過激なレバレッジより良く、その場合所得と比べて債務が減少し、実質経済が向上し、インフレ問題が解消されます。

これはバランスが取れた場合です。このバランスを可能にするには上手に支出を抑え、債務を縮小し、富を再分配し、お金を印刷することで経済と社会安定を維持できるのです。

お金を印刷すればインフレが起きるのではないかとよく聞かれます。それでクレジットの暴落を相殺できるのならインフレにはなりません。

お金で支払われようがクレジットで支払われようが支出が増加することに違いはありません。中央銀行はお金を印刷して、ふえたお金を使って減少しているクレジットを補えます。

景気を回復させるためには中央銀行は所得を増加させると同時に、所得の成長率が蓄積した債務の利子額よりも早くふえるようにする必要があります。

簡単にいうと、所得が債務より速いスピードでふえることが必要なのです。

レバレッジが減少している国があると仮定しましょう。この債務対所得の比率が100%としましょう。するとその国の1年の総所得は既存の債務と同額であることになります。

この債務に2%の利子がつくとします。この利子率のため債務が2%の率でふえており、その一方で所得が1%の率で成長しているなら債務の返済は不可能です。

所得成長率を利子率よりも高くするためには十分なお金を印刷する必要があります。

しかしお金を印刷するのは簡単ですから悪用されやすく、国民も印刷を希望することが多いです。大切なことは1920年代にドイツで起こったように、お金を大量に印刷してハイパーインフレを引き起こさないことです。

政府がバランスを維持できれば問題は悪化しません。成長率は低くても債務は減少します。レバレッジが減少していてもこれは可能です。

所得がふえると借り手の信用が向上します。そうなると貸し手はお金を貸すようになり債務負担は減少しだします。お金を借りることが可能になれば支出もふえ、経済は成長へと向かいます。

これは長期債務周期で言うとデフレーションの段階です。レバレッジの減少は対応を間違えれば大問題となりますが、正しく対応すると問題解決を引き起こせるのです。債務負担が減少し経済活動が正常に戻るまでには10年以上かかります。したがって失われた10年と呼ばれます。これが結論です。

 

■経済活動における3大原則

もちろん経済の仕組みはここで見るように簡単ではありません。

しかし短期の債務周期を長期の債務周期に重ねて、それを生産性成長カーブに重ねてみると、これまでの体験の意味がわかるようになります。現状が理解でき将来も予想できるのです。

 

まとめてみますと以下の3つの重要な要素が存在します。

①所得より早く債務を増加させない。でないと債務負担が耐えきれなくなります。

②所得を生産性より早く増加させない。そうなると競争力が弱くなります。

③生産性を向上させる努力を惜しんではいけない。長期的に一番大切な要素なのです。

これは政策立案者だけでなく一般の人たちにとっても有益な知識なのです。

しかし、この重要性に政策立案者を含むほとんどの人が気づいていません。

この知識を知っていると経済のサイクルの予測の精度を高めることが可能です。

資産運用をされている方にとっては資産を守り、そして増やしていくのに非常に役立つ知識になります。

ぜひ役立てていただけると幸いです。

 

■参考


30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio

知っていると変わる経済の仕組み①

lg-f1111pp.hatenablog.com

知っていると変わる経済の仕組み②

 

lg-f1111pp.hatenablog.com

 

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